【脱プラスチック】企業ができる取り組みは?プラごみ削減の方法も解説

レジ袋の有料化に伴い、近年関心が高まっている脱プラ。プラスチック製品が引き起こす悪影響を防ぐための取り組みが、個人だけでなく企業にも求められています。


とはいえ、企業でできる脱プラにはどのようなものがあるのか。具体的にどのような取り組みを行えばよいのか。プラごみ削減の方法をよく知らないという方も多いのではないでしょうか。


この記事では、各企業が行っている脱プラスチックの紹介や、企業における脱プラの進め方・具体的な削減方法について解説します。ぜひ参考にしてみてください。

脱プラスチックとは?国際社会や政府の取り組み

脱プラスチックとは、プラスチック製品の削減を目指す取り組みのことです。


プラスチックは安価で加工もしやすい製品としてさまざまな場面で活用されていますが、一方で自然環境に悪影響をもたらすとして、世界的に大きな問題となっています。


プラスチックがもたらす被害や脱プラスチックに向けた国や企業の取り組みについて、詳しく解説していきます。

プラスチックがもたらす被害

プラスチックは食品包装や工業部品などさまざまな場面で活用されており、その生産量も右肩上がりでした。しかし、石油から製造されていることが多く、生産や廃棄の過程で二酸化炭素を排出し、地球温暖化に悪影響を与えています。


そして2018年、ペットボトルやレジ袋などのプラスチックゴミが太陽光や水に晒されて劣化が進む過程でも、メタンガスやエチレンガスという強力な温室効果ガスを発生するということがハワイ大学のデービッド・カール教授の論文で発表されました。


また、プラスチック製品は地球温暖化への悪影響だけでなく、海洋生物への被害を引き起こすことも懸念されています。


プラスチックは海に放流されてもなかなか分解されず、魚や海鳥がプラスチックの破片を誤飲してしまうことも少なくありません。


それにより炎症反応や摂食障害を引き起こしてしまったり、傷を負うことで海洋生物の生態系が崩れ、漁獲量が減ってしまう恐れもあります。また、細かいプラスチックゴミが体内に残留した魚介類を口にすることで、人間の体内にも入り込んでしまうことも可能性もあるのです。

国際社会や政府が推進する脱プラスチック

近年、プラスチックがもたらす被害が深刻化しているとして、国際社会や各政府での脱プラスチックに向けた動きが活発になっています。


2018年6月の主要7カ国(G7)首脳会議で「海洋プラスチック憲章」が採択されてからは、ヨーロッパを中心に具体的な取り組みが始まり、フランスでは使い捨てプラスチック容器を原則使用禁止。イタリアではマイクロプラスチックを含有する、洗い流せる化粧品の製造及びマーケティングを禁止するなどの取り組みが進んでいます。


日本でも、国際社会に後れをとらないよう脱プラスチックの強化がされており、2020年7月より全国的にレジ袋の有料化が義務づけられました。この取り組みは国民からの関心も高く、単純にレジ袋の使用量が減っただけでなく、脱プラスチックへの認知を大きく広めた要因の一つとなっています。

脱プラスチックに取り組む大手企業

積極的に脱プラスチックに取り組む大手企業を、具体的な事例も含めてご紹介します。

ぜひ参考にしてみてください。

マクドナルド

マクドナルドでは、2025年末までに提供用容器包装類を、再生可能な素材、リサイクル素材または認証された素材に変更することを目標として掲げ、数々の取り組みを進めています。


<具体的な取り組み例>

  • 紙ストロー・木製カトラリーの導入
  • プラスチックカップから紙カップに変更
  • プラスチックバッグの削減

スターバックス

スターバックスでは、使い捨てプラスチック資材を含めた廃棄物削減に積極的に取り組み、「コミュニティに更にポジティブな影響を与える活動を継続する」として、さまざまな観点から脱プラの取り組みを進めています。


<具体的な取り組み例>

  • 紙製ストロー全店舗導入
  • 繰り返し使うカップ 「リユーザブルカップ」 全店舗で販売
  • プラスチック製ギフト包装資材を全廃

イケア

イケアでは、使用するプラスチックをすべて再生可能素材またはリサイクル素材にするという目標を掲げ、使い捨てプラスチックからサステナブルなプラスチックを使用する商品への変更を進めています。


<具体的な取り組み例>

  • 2030年までにプラスチック製品から再生可能素材またはリサイクル素材のみへ
  • 全世界のホームファニッシング製品から使い捨てプラスチック製品を段階的に廃止
  • ISTAD/イースタード フリーザーバッグは、サトウキビ産業から出た再生可能素材をもとに作成

すかいらーくグループ

すかいらーくグループでは、使い捨てプラスチックにおける石油由来プラスチック比率ゼロを目標を掲げ、プラスチック製品の使用量削減を数値化しながら脱プラスチックの取り組みを進めています。


<具体的な取り組み例>

  • 竹割り箸の個包装をプラスチックから紙に変更
  • レジ袋をバイオマスプラスチックに変更
  • カトラリーをバイオマスプラスチックから木製に変更

日清食品

日清食品では、製品を通じた環境配慮として容器やパッケージなどの素材変更を中心に精力的な取り組みを進めています。


<具体的な取り組み例>

  • 「バイオマスECOカップ」の使用
  • プラスチックトレーの不使用

カルビー

カルビーグループでは、使用するプラスチック量を可能な限り削減し、環境配慮型素材への転換を掲げ、カルビーグループの持続的な成長と持続可能な社会の実現を目指すとして、地球環境に配慮した取り組みを進めています。


<具体的な取り組み例>

  • 石油由来プラスチック包材の削減目標の設定
  • バイオマスプラスチックの活用
  • 株式会社アールプラスジャパンへの資本参加

セブンイレブン

セブンイレブンでは、環境問題を解決し、豊かな地球環境を未来世代につないでいくために石油由来のプラスチックカトラリー削減を中心に取り組みを進めています。


<具体的な取り組み例>

  • レジ袋削減
  • ペットボトル飲料を100%再生PET樹脂使用へ規格変更
  • 包装パックを環境配慮型に変更

企業における脱プラの進め方

企業における脱プラを進めるためには、まずは自社のプラスチック使用量を把握することが大切です。どのくらいの量をどこで使用しているのかの現状を明らかにしたら、次にプラスチック製品を減らすための動きを検討します。


  • 新たなプラスチックを増やさない
  • 代替製品の導入

具体的にこの2つの観点から詳しく解説していきます。まずは小規模からはじめて、現場の声に耳を傾けながら無理なく進めていくのがポイントです。

新たなプラスチックを増やさない

脱プラスチックを進めるうえで、まずは新たに地球上に生み出すプラスチックの量を増やさないことが第一ステップとなります。


綺麗なプラスチック製品を使い回す「マテリアルリサイクル」を活用し、廃プラスチックを原材料にして再度プラスチック製品として利用することで、限りある資源を有効活用することができます。


リサイクルが可能なプラスチック製品を選択し、専用のリサイクル施設にプラスチックを持ち込み、回収してもらうことで、新たなプラスチックを増やさない取り組みを進めることができるのです。

代替製品の導入

次に考えられるのは、プラスチック製品を使用しない代替製品の導入です。


環境に優しい材料を使用した代替製品を導入することで、手間なくプラスチック製品の削減を行うことができます。主な代替製品としては紙製品や木製品などが一般的です。


また、生物が分解可能なコーンスターチから作られた製品へ変更することで、使い心地を大きく変えることなく、環境に配慮した取り組みを進めることもできます。


これらはプラスチック製品の仕入れ状況を考慮しながら、コストを比較して代替製品を選択することが大切です。もちろん顧客目線での使いやすさも重要になってきますので、慎重に検討する必要があります。

中小企業や個人店舗でもできる脱プラの方法

コストをかけた大きな動きが出来ずとも、プラスチック製品の削減を経営の中で取り入れることは可能です。


主に取り入れやすいのは食器や容器の代替、そして包装資材の代替です。こちらについて、中小企業や個人店舗の観点から解説していきます。

食器や容器の代替

主に飲食関係の店舗であれば、プラスチックトレーやカトラリーを使用しているところが多いのではないでしょうか。


プラスチック容器を紙製品の容器へ変更したり、プラスチック製のスプーンなどを木製に変更することで簡単に削減をすることができます。紙製ストローなどは移行の動きが高まっているため、流れに合わせて取り入れてみるのもおすすめです。

包装資材の代替

全ての業態の店舗で取り入れやすい取り組みとしては、包装資材の代替です。


プラスチック製のレジ袋を紙袋やバイオマス製のレジ袋へ変更したり、商品包装を紙製のパッケージへ変更することができます。他にも個別包装をやめてプラスチックの使用量を減らすことも可能です。


まとめ

この記事では、脱プラスチックにおける国際社会や政府の取り組み例や、企業が取り入れる際の具体的なプラごみ削減方法について解説しました。


プラスチック製品は自然環境に悪影響を与えているため、世界規模での意識改革が促進されています。個人での取り組みも大切ですが、国や企業が一丸となってプラスチック製品の削減を進めることが重要になります。


企業や業態によってアプローチ方法が異なるため、導入前に工夫すべき点もありますが、さまざまな利用シーンなどを想定し、取り入れやすい脱プラ方法を見つけてみてください。